気管支拡張症の漢方相談

【薬剤師監修】　気管支拡張症と漢方

気管支拡張症とは
口や鼻から取り入れた空気を肺まで届ける器官を気道といい、気道には気管と気管支があります。気管支は、気管から肺の方向へ木の枝のように分岐を繰り返して肺胞まで進んでいます。口や鼻から取り入れた空気は、この気管支を通って肺胞まで到達し、肺胞で二酸化炭素と酸素のガス交換が行われ、肺の血管を通じて酸素が全身に運ばれるのです。

この気管支がなんらかの原因で、広がってしまいもとに元に戻らない状態を、気管支拡張症といいます。気管支拡張症は肺全体の気管支に拡張が起こる、びまん性気管支拡張症と拡張が一、二箇所に限られる限局性気管支拡張症があります。

気管支拡張症の原因
気管支拡張症は、慢性的な気道炎症が引き金となります。その原因は、びまん性であるか限局性ものであるかによって異なります。

１．びまん性気管支拡張症の原因
嚢胞性繊維症や分類不能型免疫不全症などの免疫不全症、原発性線毛機能不全症候群などの先天的疾患が原因となります。また、低栄養や、HIV感染症も気管支拡張症のリスクを高めるといわれています。

２．限局性気管支拡張症の原因
細菌やウイルス感染による肺炎や、腫瘍や肺リンパ節腫脹による気管支の閉塞を治療せずに放っておいたり、繰り返したりすることで限局性気管支拡張症となります。特に、気管支や肺胞の発達が盛んな乳幼児は注意が必要で、気管支感染を繰り返すことで気管支が傷つき、気管支拡張症が起こりやすくなります。

　　
気管支拡張症で気をつけること
気管支が拡張した部分には、細菌やカビなどが増殖しやすくなり、炎症を起こします。この細菌やカビが肺へと広がっていき、痰や咳、肺炎を起こし、肺の機能が徐々に低下していくため、早めに治療を行う必要があるのです。

気管支拡張の原因となる基礎疾患がある場合は、まずは原因となる疾患の治療を行います。また、肺や気管の炎症を抑え、咳や痰などの症状を軽減するために、抗菌薬を投与したり、咳止めや痰切りの薬で治療したりすることもあります。

気管支拡張症と漢方
肺に溜まっている痰や水を排出したり、気管支の浮腫を改善したりすることで、気管支拡張症の症状を改善する漢方薬があります。これは、冷えがあり、体力が衰えている方に積極的に用いられます。ある程度、病状が進行していても服用できます。一方で、熱をもち比較的体力がある方には、肺にこもっている熱を取り除き、症状を改善していく漢方薬が使用されます。